約半年間も白い雪に覆われている北国の人にとって雪解けの時期は格別の思いがあります。
こもりごちな家からちょっと町に出てみると、2月頃からショーケースにうぐいす餅やさくら餅が並び始めます。
この黄緑色と薄桃色はまさに春のさきがけの彩です。
手からとび立ちそうなふわふわのうぐいす餅を、きな粉をこぼさないように口に入れる瞬間。
また塩漬けされた桜の葉にしっとりとくるまれた、ちょっとおすまししているようなさくら餅。
一口で食べてしまうには惜しいような愛らしさです。
色合いと共にこの手ざわり感やさっぱりした甘味が、春になったらまず食べたくなる日本のお菓子のひとつなのだと思います。
さくらの時季に、江戸向島の長命寺で売り出したのが桜餅の始まりと言われています。